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受賞者一覧

令和2年度/第42回受賞者

食品産業部門 <経営革新タイプ①>(2020)
農林水産大臣賞

竹之内穀類産業株式会社

代表取締役社長:竹之内俊夫 
所在地:鹿児島県鹿児島市
業種:精麦・精米業
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【功績申請の概要】

  • 創業当初より、国内産及び豪州、米国など世界各地から穀物を輸入・加工しており、焼酎用、味噌用、押麦などの食用、牛の飼料用として日本各地に出荷している。
  • 客側の経営層・営業・開発・製造・購買部門などとコラボしながら、穀物製品を一つ一つ創りあげ、その後も品質向上や安定供給に徹するなど、付加価値のある取組みを広げている。
  • 68年間の事業実績から穀類加工に関するデータを蓄積・活用し、生産者や醸造会社・畜産会社が、お互いに望んでいる品質価値を合理的に高めることが可能となっている。
  • 最適な精麦原料調達や加工・在庫管理を行う「事業統括システム」を開発し、高品質な精麦を安定して供給できる体制を構築。経済産業省「平成24年度中小企業IT経営力大賞」において実践認定企業として認定されている。

(経営近代化・合理化、生産性の改善向上等)

○創業者から我々3代目につむぐ大切にしていること

当社は、昭和15年に創業者 竹之内實一が精麦業を開始して以降、国内外の米・大麦・とうもろこし等の穀類の加工販売を行っている。企業理念として、「穀類は人類の生死の鍵を握る貴重な食べ物である。その貴重な穀類を職業として取り扱えることに深く感謝と責任感とまた誇りを持ちます」を掲げ、穀類生産者と、商品化するお客様(メーカー)の橋渡し役として、穀類加工の品質探求と喜ばれる穀類製品の見える化・データ化に取り組んでいる。また、これらの事業活動を通じて、お客様の喜びを共に創出することに努めている。

 

○68年間の事業活動

麦焼酎の原料である精麦丸麦製品は、大分県の大手本格焼酎会社他多数に納品している。高品質の麦焼酎を作られる為に必要な原材料へのこだわりかつ厳しいご要望に「ミリ単位での製品仕様対応」、「生産地原料選抜から加工前・工程管理・最終製品での多数の品質分析実施、共有、提供」、「柔軟なる対応力」等を社員全員が徹底することによって高い評価をいただいている。また、本県114蔵芋焼酎会社の内、約半数と麹米用精米の取引があり芋焼酎文化の発展に貢献している。さらに、本県複数の味噌会社へ長年愛されているお味噌の原料として、鹿児島県産の麦や米を納めており、市民生活の食卓を原料から支えている。さらに、本県黒毛和牛の飼料製造販売を手掛けており、当社のお客様である畜産農家ひとりひとりにあわせたオーダーメイド飼料を、注文いただいてから短時間で均一に加工し、できる限りフレッシュな状態で供給している。この「オーダーメイドで、短時間・高品質(多品種・均一化)の製造方法」は、自社で独自開発し、ヨーロッパの機械メーカーに特注した製造機械を効率的に配置することによって実現している。本県のこだわりのある高級黒毛和牛肉を生産している畜産会社から長年高評価を受け続けており、多数の取引実績を作ることで本県畜産業の発展に貢献している。

 

○日本麦焼酎に適したオーストラリア産高品質大麦の選別方法開発(業界の近代化生産性向上)

国内産大麦生産量では本格麦焼酎の原料である大麦丸麦の量を確保することが困難なことから、オーストラリア産大麦のモルト品種を購入している。日本特有の焼酎原料の希望する品質条件をオーストラリアの農業技術者に伝えるためアデレード大学と共同で、大麦の硬さを基準とする選別方法を開発し、2001年に開かれた第10回Australian Barley technical symposiumにおいて「日本の主食用(焼酎用)大麦市場の選別方法について」という論文を発表した。これにより、安定した品質のオーストラリア産大麦を確保することが可能となった。なお、この選別方法はオーストラリア産大麦の精麦適性と醸造適性を測る指標として仕様されており、日本及びオーストラリアの精麦業の振興発展に大きく貢献している。

 

○設備導入、工程見直し等による生産性の向上

・市場の動向と当社の最適な生産能力からボトルネック(滞留)がない工程を分析して、プラント設計・設置をしており、少人数で最大限の生産性向上が図れる仕組みをとっている。

・昭和53年:4回目の本社工場を移転した。平成12年:黒毛和牛専用の短時間・多種類・均一な配合飼料プラントの稼働を開始した。

・平成28年:大麦粉粉砕設備・食品クリーンルームを新設し、一般消費者向け商品「混ぜる大麦」開発の取組みをはじめた。(クリーンルーム内での食品レベルの粉砕粒度を実現)

・令和2年7月:味噌・食品用精麦ラインに比重選別プラントを増設し、穀物に入っている野生種子を取り除くことが可能となり、安心安全な大麦丸粒製品を提供できる体制が整った。

 

○市場開拓、販売拡大の取り組み

・若手職員が中心となって、当社との取引メリットを示す「価値PRチラシ」を作成し、新規顧客に積極的な営業活動を行うことで販路開拓に取り組んでいる。

・令和2年3月にオンライン会議システムを導入し、顧客・国内外取引先との商談や社内での勉強会に活用している。移動時間の短縮やコロナ禍における新しい営業活動の手法確立にも結び付いている。

・本県「食品関連産業経営力アップ支援事業2019・商品力UP&販路開拓支援プログラム」を活用し、B to Cのマーケティング・ブランディング・デザインの研修を受講し、食品用商品「まぜる大麦(つぶ・パウダー)」を開発することで、一般消費者の販路開拓に取り組んでいる。また、業務用として本県学校給食会やホテルへ納入し、鹿児島県産大麦の新たな販路拡大・価値向上に取り組んでいる。

 

○独自の製造方法及び技術研究開発

・麦焼酎と味噌の穀類原料となる「皮をむいた大麦商品」を約69年間加工販売している。

・穀物加工の使命は、お客様であるメーカーの穀物商品(麦焼酎・味噌)を製造する段階において発酵が理想どおりに進行し、嗜好性が高く、アルコール収得量や保存性を高め、「喜ばれる原料」を製造することである。その為に、搗精機という穀類大型機械(連続式)で、大麦全体が割れないよう丁寧に約1ミリ単位で皮をむき、お客様であるメーカーが望む胚乳部を露出させる加工技術を採用している。お客様ひとりひとりによって希望される商品仕様が異なるため、オーダーメイドで加工をしている。

・醸造用穀物大麦の高い加工技術、生産能力、品質分析能力をもって、お客様であるメーカーの付加価値を共同開発するという点において、九州に約15社ある精麦事業者の中トップクラスである。

 

○従業員の資質の向上のための取組み

・20分間の朝礼において、役員及び社員が前日の全部門の穀類重要指標とデータを共有し、細かい基準に適合しているか、複数の目で確認している。また、若手社員の教育に結び付けることで資質向上に努めている。

・労働安全チーム活動・技術継承チーム活動の全員で実施し、中堅・若手社員が班長となり労働安全・健康管理・技術継承の研修実施・周知活動を実行しながら、班長・メンバー自身が資質向上とリーダーシップとフォロアーシップを学んでいる。

 

外部との連携)

・国立大学法人鹿児島大学農学部食料生命科学科 加治屋勝子氏と共同で大麦に含まれる栄養素の量や、健康増進に役立つ成分等について共同研究を行っている。

・本県の令和2年度「中小製造業者創業・新分野進出等支援補助金事業」を活用し、「穀類食品業・新分野」への着実なる進み方(市場調査・マーケティング・経営計画作成指導等)について専門家からアドバイスを受けている。

 

(食品表示法への対応)

・顧客である焼酎メーカーが、食品国際規格「FSSC22000」を取得したことを受け、原料調達元として、衛生管理専門のコンサルタントから衛生管理の知識・技術を1年間学んでいる。国際規格等は未取得であるものの、毎年自主的に受けている衛生管理の外部監査において高い評価を受けている。

・ルート営業におけるコンタミネーション(交差汚染)防止のマニュアルを作成し、アレルギーの知識、自社商品には栄養成分表示、原料原産地表示等の変更にも適宜対応している