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受賞者一覧

平成28年度/第38回受賞者

環境部門<食品リサイクル推進タイプ>(2016)
農林水産大臣賞

太子食品工業株式会社 十和田工場

工場長:門前 一記
所在地:青森県 十和田市
業種:
> 公式ホームページ

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【功績申請の概要】

  • ○太子食品工業株式会社十和田工場は、1971年(昭和46年)に操業を開始した工場であり、社内のTPM活動を通して食品廃棄物の抑制・リサイクルの取り組みを行っている。 ○工場で発生する廃棄物のうちオカラについては、畜産用飼料及び堆肥用として再利用率100%を達成している。さらには、付加価値の高い飼料としての利用を推進するため、オカラのサイレージ化を図り、遠距離農家への販路拡大を行っている。 ○また、油揚げ製造で発生する廃食用油についても、製造工程で使用する蒸気を賄うボイラー燃料の重油と混合して使用することで、100%の再利用率を達成している。 ○さらに、排水処理場から発生する有機性汚泥は、肥料の登録を行い、発生量の67%が野菜の肥料として再利用されている。

 

(資源・環境保全対策)

○食品リサイクルの推進:食品廃棄物の発生抑制の取組

・食品工場の場合、製造工程で発生する不良品(豆腐、油揚げの場合、形状不良、量目不足等)が食品廃棄物発生の主な原因になる。そこで、社内のTPM活動(毎月開催)を通して不良品の発生要因を分析してそれに対応することにより不良品を削減する取り組みを継続して行っている。その成果として平成27年度の食品廃棄物の発生量(862t)は、前年度(959t)に比べ97t(9.8%)削減することができた。

 

○食品リサイクルの推進:再生利用等の取組

・豆腐、油揚げの製造工程で発生するオカラは、操業当初から地域の畜産農家へ家畜の飼料として供給した。その後、平成13年から、飼料の保存性を高めるため、当社でビートパルプの混合比率を検討する等の研究を行い、オカラのサイレージ化を行った。オカラ(年間発生量4,337t)は、家畜飼料用に生のまま2,183t、サイレージ化して1,870t、堆肥の原料として284t販売している。サイレージ化したことにより保存性が高まったことから、遠距離農家へも販路を拡大することができた。

・また、油揚げ製造で使用され発生した廃食用油については、平成13年から有効活用に取り組み、全量(650t)を工場内で使用する蒸気ボイラーの燃料として重油と混合して利用している。混合する装置を工夫し混合比を上げることにより、重油使用量をさらに削減することができた。この取り組みで年間約606t(発熱量換算)の重油使用量が削減できた。

 

○食品関連事業者・リサイクル業者・農業者・消費者等との連携

・排水処理工程で発生する有機性汚泥については、農家の協力を得て生汚泥のままで農地にすき込む試験栽培とその有効成分の分析を行い、平成14年に商品名「タイシのゆうきくん」として肥料の登録が認可された。その後、地域の野菜農家(7軒)と継続して試験栽培に取り組み、適した野菜類の選定を行い、現在は、青森の特産品であるにんにく、ながいも、ごぼう、ねぎ等を栽培する農家に利用してもらうまでになっている。年間販売量は2,300tであり、農家の希望により当社のトラクタですき込むサービスも行っている。また、平成27年度にスクリュー式の汚泥脱水機を新たに導入し、含水率を約6.5%低下させることにより、汚泥発生量も平成27年度(3,289t)は、前年度(3,555t)に比べ266t(7.5%)減少した。吸水倍率が非常に高いので、ねこ砂用原料としての用途に使用されている。

○食品廃棄物以外の廃棄物の適正処理の取組み

・各製造工程で発生する包装材の切れ端等の廃プラスチックは、分別して処分業者へ委託し、リサイクル処理している。バイオマスボイラーから発生する「煙突の煤」や「燃え殻」についても、処分業者に委託し、マニフェストによる管理を行っている。

 

(環境問題への社内体制等)

○環境対策の社内組織の状況

・工場内に環境管理委員会(工場長、管理課長、工務課長、製造課長で構成。廃棄物の発生抑制、再利用、適正処理、計画的管理運営等の実施が目的)を設け、定期的に廃棄物の削減目標を策定、その取り組みの進捗状況を確認し、発生する問題点についても随時検討している。

○従業員に対する取組

・毎月1回開催している従業員全体集会を通じて、工場の取り組み状況の説明と環境問題に対する意識向上を図っている。

○消費者への情報提供等の啓発活動の取組

・工場見学で来場される消費者に対して、工場の環境問題に対する姿勢や取組の内容について説明して、ご理解を得るようにしている。

○環境行政に対する対応・協力

・地域の環境美化のボランティア団体である奥入瀬川クリーン対策協議会へ設立当初(昭和59年)から団体会員として加盟して、毎年行われる河川清掃活動に積極的に参加している。

 また、省エネルギー・環境対策の一環として平成21年6月に、蒸気ボイラーの一部にバイオマスボイラーの導入を図り、地域の木質チップを利用している。バイオマスボイラーの導入による重油の使用量が減少することにより、CO2削減量は年間約5,000t相当である。