受賞者一覧
平成28年度/第38回受賞者
【功績申請の概要】
- 有田みかんの会社。みかん栽培から加工・販売まで「みかん農業の6次産業化」を実践。7戸の農家が立ち上げた「みかん農業の会社」として、担い手不足と高齢化による斜陽化必至のみかん産業を盛り上げ、地域活性化に貢献したいと考えている。 デフレ経済の中、平成12年会社設立後、みかん加工品の売上が右肩上がりで伸びてきた。とことんみかんを深掘りし、加工により付加価値を高め、全国・海外へ販路を拡げ、当地域最大の特産物「有田みかん」を「儲かるスマ-ト農業」として生まれ変わらせる。 生まれ育った和歌山に貢献したいという地元志向の学生の受け皿として、また、これから増えていく元気な高齢者の働き場として雇用の拡大を図っていく。
【功績申請の具体的内容】
(農商工連携の推進)
○国産農産物の利用、契約栽培の状況
・有田みかんの生産・加工・販売の6次産業化を行っている。自社生産と有田みかんの生産者の栽培したみかんを仕入れ、青果みかんの販売約500トン、加工みかん約1200トンを利用、 原料をすべて有田みかんに特化した、100%ストレ-トジュ-スを始め、みかん加工品を27アイテム約170万本の商品を製造・販売している。
・平成12年、7戸の農家が集まり設立した会社であり、平成15年、みかん加工を始め6次化に入る。その後、デフレ経済の中、青果みかんの消費は伸びないが、加工品がよく受け入れられ全国・海外へと販路が拡大した。自社生産のみかんでは足りなくなり、始めは近隣の生産者に協力を得て、糖度の高いみかんを加工用みかんの相場の4~5倍の価格で現金購入したところ、生産者間で話題となり、原料調達は軌道に乗った。現在では、自社生産のみかんは全取扱量の1割程度になり、個人生産者、地域の共撰組合、JAありだ直営からも仕入れている。原料はオ-ル有田である。
○生産者ヘの技術指導等、農業への支援
・素材を生かせた美味しいみかんの加工品を提供したいと、美味しいみかん生産にこだわっている。自社の直営農場では、「マルドリ方式」や富士通様と4年間にわたる実証実験に取り組んだ「ICT農業システム」、「光センサ-」で美味しさを選別するなど、栽培管理から取り組んでおり、協力してもらっている生産者には、マルチ栽培など高品質化生産を強力に勧め、高糖度みかん栽培に取り組んでもらっている。剪定・摘果講習会の開催、生産者大会、栽培技術研究会・セミナ-を開催している。県果樹試験場の先生方、JAありだ技術指導員、青果市場の方などに協力を頂いている。
・経験や勘だけに頼る農業ではなく、「ICT農業システム」を活用してデ-タに基づいた栽培、コスト管理の徹底など「儲かるスマ-ト農業」を提唱、青果みかんとみかん加工品を組み合わせ、農業所得を上げる。早和果樹園は有田みかんのリ-ディングカンパニ-を目指している。
○国産農産物を利用した新商品開発
・有田みかんをとことん深掘りして、最大限の付加価値を付けたいと考えている。みかん加工を始めてから13年になるが、これまでは中身の果肉だけを利用していろいろな商品を創り出してきた。搾汁は県内食品加工企業に自社のみかんを持ち込み外注してきたが、弊社の販売量が大きく増え、昨年から自社工場を建設し、自社でも搾ることになった。
・昨年からは残渣のみかんの皮・フクロ(じょうのう)を利用して、みかんまるごと付加価値を付けようと、新たに商品開発を行っている。みかんの皮は乾燥施設を新たに設置して、大手漢方薬の製薬会社に陳皮原料として大量に販売を始めた。また、果皮の自社製品として「陳皮パウダ-」「みかん七味唐辛子」の開発。龍谷大学とコラボして開発した、みかんの皮を練り込んだ「みかんうどん」も本年発売して、龍谷大学学長広報室からNHK,新聞などへ取り上げられ話題となった。さらに陳皮を使った化粧品やシャンプ-、フクロ(じょうのう)についても、ヘスペリジンや、ペクチンなどの食物繊維が多いことに目を付け、新商品開発を行っている。
○販売促進
・販売方式は、オ-ルチャンネルでの取組である。有名百貨店、高級ス-パ-、通販、コンビニ、高級ホテル、機内販売、県下観光地のお土産店等全国へ展開、香港・シンカポ-ル・中国・台湾ドイツ・オランダ・ベルギ-等海外へも販売。
・自社でのカタログ販売も行い、インタ-ネット販売では、自社サイト及び楽天にも出展、消費者直接販売にも力を入れている。小さいが本社のショップも地域の人気店となっている。
・試飲試食販売は重視し、外部のマネキンを頼むのではなく、すべて弊社社員が店頭に立っている。各地の百貨店やス-パ-始め、地元観光地でも、毎週土・日・月、休日や夏休みなど学校の休みは全部、県内白浜温泉「とれとれ市場」など2カ所、また、伊勢のおかげ横丁へ出向き、社員交代で試飲試食販売に取組み、年間65万個の試飲カップを使用している。
(地域農業との連携、地域活動等)
○地域社会との連携
・みかん栽培は自社でも取り組んでおり、有田市の認定農業者で「農業生産法人」である。役員7人とも、元々みかん農業者である。地域のみかん生産者とは農家・農業の会社として密接に繋がっている。県内大学、高校生のインタ-ンシップの受け入れ、県庁主査研修(一ヶ月間)、市内小中学校教諭の企業研修など、年中、地域の方々の研修生らが社内にいる状態である。また、県内外からの視察団も多い
○地域の農協、漁協、地方食品産業協議会等との協力状況貢献
・早和果樹園はJAありだの一組合員であり、青果みかんの市場販売は、農協系統を通じての販売となっており、JAありだ共撰協議会の会員で、株式会社組織での加盟は早和果樹園だけである。
・上部組織である和歌山県農協連では、早和果樹園の商品を地元や東京のス-パ-等に卸してくれている。一方、搾汁をアウトソ-シングして連携してきた紀州食品株式会社は、和歌山県食品産業を牽引する会社として、指導してくれた。二次加工のジュ-スのボトリングや、ゼリ-、ジャム、ポン酢等の製品化は自社工場で行っているが、一次加工を担ってくれた紀州食品様との連携は、立ち上がりから10数年非常によい結果が出た。
・現在、早和果樹園は和歌山県食品産業協議会の一員であり、業界の発展に協力している。
○地域の雇用先としての貢献
・法人化した平成12年は従業員16名(内役員8名)で始まった。現在、60名(内役員7名)と大きく人員が増え、地域の数少ない雇用先となっている。数年前から新卒大学生に当社の人気が高くなり、一昨年5名、昨年4名、本年4名の新卒入社があり、来春入社の内定者が現在4名である。主に県内出身学生のUタ-ンであるが、大阪など近畿圏内の学生の応募もある。常勤従業員60名の内、20才代が1/3をしめ、国立大学卒も数名いる。
(原料原産地表示の取組等)
・早和果樹園が原料として使用する有田みかんは、地域団体商標登録「有田みかん」登録第5002567号で、商標権を持つJAありだから、(株)早和果樹園に対して地域団体商標の使用者として 【JAありだ認定番号0005号】が交付されている。取引商談時には必ず認定証を提示している。
・また、当市が行う有田みかんの「有田市原産地呼称管理制度」で美味しいみかんを認定する制度がある。毎年、人気パテシエの鎧塚俊彦さんら有名人による官能審査により、早和果樹園は 「みかん」、「みかんジュ-ス」共に認定を受けている。