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受賞者一覧

平成28年度/第38回受賞者

食品産業部門<農商工連携推進タイプ>(2016)
農林水産大臣賞

株式会社 マルハチ

代表取締役:阿部 敏明 
所在地:山形県 東田川郡庄内町
業種:漬物製造
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【功績申請の概要】

  • 企業理念である「地域・農業者との協働」を実践するための「マルハチ協働ファーム」 構想を設定。農業者の所得向上策や漬物作り体験を通した食育事業の推進、伝承野菜の栽培拡大を核とした地域食文化の継承等に注力した事業展開を長年に渡り継続している。
  • 上記構想を実践するためには、新商品・新技術の開発・進化を常に心がけ、地域機関・団体と連携し、競合他社がつくれない商品を市場に提供し続けることで農産物の拡大が実現すると考え、業界初の技術商品を上市してきた。特に、合成3品(合成着色料・保存料・甘味料)を一切使わない技術を開発・全商品に適用することを当社の差別化戦略・農産物拡大策としている。
  • 企業理念である「地域・農業者との協働」を実践するための「マルハチ協働ファーム」 構想を設定。農業者の所得向上策や漬物作り体験を通した食育事業の推進、伝承野菜の栽培拡大を核とした地域食文化の継承等に注力した事業展開を長年に渡り継続している。 農作物の栽培技術指導のために社内に栽培指導組織をつくり、専門スタッフによる農家支援のための体制づくりと施策を長年実施している。また、当社が構築している社員づくりのための各種制度を活用した「地域のリーダーづくり」を視野に、地域活性化に必要な「人づくり」を推進し、「企業・農家・地域」が一体となった6次産業化の実践事業形成を目指している。

【功績申請の具体的内容】

(農商工連携の推進)

○国産農産物の利用、契約栽培の状況

・原料調達に係わる国産農産物の比率を年々高めることに注力しており、特に県産農産物及び伝承野菜を中心とした契約栽培農家からの調達量を拡大させている。また、地域農業者の所得増加を図るためにも県内産原料の仕入れを年々増加している。

・独自の契約栽培スタイルとして、各農家を地域や団体単位でグループ化(36グループ・208戸:農業者との直接契約・農協契約)し、そのグループごとに作付野菜や収穫量等を決めている。

○生産者ヘの技術指導等、農業への支援

・契約栽培基準を基にした技術指導として、作付品目別に「原料作付マニュアル」を作成し、これを基にして、土壌調査から収穫までの全19工程についての当社独自規格に沿った指導を行っている。また、作付前の段階で農家ごとの作付品目・面積・収穫予定等を記載した栽培計画書を取り交わし、価格設定・全量買取を約しているため、年度初めに各農家が安心して農作業に取組む環境をつくっている。

・各農家の栽培技術力の差により収量に大きなばらつきが生じたため、どの農家にも安定収量を確保してもらう目的から平成元年より栽培技術指導員を養成し、栽培指導を始めている。

・県外等他地域が主産地となっている農産物でも当社が必要としている品目については、その栽培方法や技術指導等を実施し、1農家単位の複数作目を奨励し、所得向上に寄与している。

○国産農産物を利用した新商品開発

・庄内地方の自然が生み出す野菜の美しさをそのまま消費者に提供していくことを原点に研究開発部(現状研究員6名体制)を中心に、「新商品開発」・「既存商品改良改善」に取組んでいる。

・商品開発を手掛けるにあたって、社内組織として商品開発会議、営業商品開発会議によるアイディア会議や商品化検討を行っており、これまでに「あつみかぶ」の発色技術の開発等の野菜加工分野だけでなく、漬け液開発(漬け液透明化:若もぎ小茄子)にも着手し、3年間に及ぶ期間を経て業界初の商品化に成功した。

○販売促進

・当日受注・当日出荷システムを構築している。これは、「浅漬け」であることや、従来の漬物製造方法であれば加熱殺菌により賞味期限を長く保つことができるが、新鮮な野菜を新鮮なうちに取引先に納品することが、販売促進の第一と考え、受注・生産計画・製造指示を、コンピューターと経験に基づいた当社独自の生産管理システムにより当日受注・当日出荷を実現している。

・消費者向け販促として、取引先売場にて試食販売を実施するなど、エンドユーザーから直接評価を得て、改善や改良を行う工夫を行っている。販売商品への消費者からの要望を反映したリニューアル商品対応や新商品開発の基礎としている。

 

(地域農業との連携、地域活動等)

○地域社会との連携

・「地域・農業者との協働」に基づく「マルハチ協働ファーム」の構築を目的とした事業活動に注力している。漬物企業としての加工技術の進化にとどまらず、素材となる野菜の栽培・反収・経費等の農業経営に係わる所得向上策の提案・実践指導を行い、農業後継者が魅力ある事業として認識できる体制を構築している。

○社会貢献

・環境整備の一環として、社員全員で通学路にもなっている本社前の歩道に花を植える活動を平成5年から毎年継続して行っている。(総延長100m)。また、地元庄内町の4つの小学校が毎年、授業の一環として来社し、漬物が野菜からどのように作られているのかを見学。実際にあさ漬けづくりを体験してもらい、児童がつくった漬物を家庭に持ち帰り、家族で食していただく機会をつくっている。

○研修生受入制度への参加

・平成27年度より「JICA青年研修受入事業」への参加を実践(庄内町国際交流協会の受入)し、開発途上国の農業

知識・経験・技術向上に向けた取り組みとともに、地域社会との交流を通して、地域食文化 の啓蒙普及に努めている。

○山形大学農学部との連携

・伝承野菜の研究や新商品開発の技術相談等を行うとともに、各種情報の共有化を図りながら、地域の農業育成・児童(小学生の工場見学・漬物製造体験等)を通した食育・人材育成等の視点から当社として貢献できる事業展開を行っている。

 

(原料原産地表示の取組等)

・表示義務として、食品表示基準に基づき、食品一括表示に原料原産地欄に、原則として「国産」もしくは、「原産国名」表示を行っている。また、一括表示欄とは別に、商品名に隣接して大きく「国産野菜使用」と表示。さらに伝承野菜を原料とした商品には「山形県産使用」と表示してアピールしている。

・表示義務以外の独自記載として、伝承野菜や郷土料理であることを表示し、地域食文化を発信することで差別化商品としての価値を高め、販売拡大・地域野菜使用拡大に努めている。

・その他の安全・安心への取組として、産地表示以外にも安全で安心な商品を提供していくために、以下のような取組を行い、取引先・消費者との信頼関係強化の一助としている。さらに、HACCPに準じた品質管理システムに加え、環境保全の観点から平成16年にはISO14001を取得(本社工場)し、平成23年には品質第一をモットーとするためISO9001を取得(東京工場)している。