受賞者一覧
令和6年度/第46回受賞者
食品産業部門(農商工連携推進タイプ)(2024)
農林水産大臣賞
株式会社大商金山牧場
代表取締役:小野木 重弥
所在地:山形県東田川郡庄内町
業種:食肉加工販売
【功績申請の概要】
- 〇豚糞や食品廃棄物を元にバイオガス発電を行い、売電するとともに、その残渣を肥料として地元農家に還元している。地元農家が育てた飼料米を購入することで、循環型農業を実践している。 〇JGAPと農場HACCPの認証を取得するとともに、ミートセンターと屠畜場を併設することで、飼育・屠畜・加工の一環体制の構築し、安心・安全な製品を供給できる体制を構築した。
●功績申請の具体的内容
(農商工連携の推進)
〇県内畜産・農業の振興への貢献
・パック肉と自社加工品に使用している肉の国産の割合は、トータルで6割を超えており、最も扱い量の多い豚肉では7割以上が国産となっている。
・平成20年には金山町に自社農場(米の娘ファーム)を展開し、現在は山形県庄内町に本社を置き、米とホエーで生育した「米の娘(こめのこ)ぶたⓇ」を代表ブランドとして、食肉製造・加工・卸・小売を行っている。
・「米の娘ファーム」では、地元最上地域を中心とした県産飼料用米とホエーを混ぜ合わせ、「リキッドフィーディング」方式を使用し、ブランド豚「米の娘ぶたⓇ」を生産している。
・ミートセンターは屠畜場である庄内食肉流通センターと併設しており、屠畜された枝肉は外気に触れることなく冷蔵状態のまま加工され、安全で高品質の商品加工と衛生度の充実による徹底したリスク管理で生産・加工・販売までの一貫体制が確立されている。
・平成20年には、ミートセンター内のカット事業部でISO22000認証を取得、令和元年にはミートセンター全体(カット事業部、産地パック事業部)でFSSC22000認証を取得した。
・米の娘ファームで日量約8トン発生する豚の糞尿の処理について、平成30年6月に山形県内の民間企業としては初のバイオガス発電を開始した。
〇生産者への技術指導等、農林水産業への支援
・畜産事業の振興と消費の拡大に寄与することを目的として平成14 年に契約生産者や飼料メーカー、資材業者、建設業者、設備業者、運送会社等の取引業者を中心に「大商養豚研究会」を設立した。
・「米の娘ファーム」では2020年1月10日に安全かつ効率的に持続可能な農場運営を行うための基準を満たした農場に与えられるJGAP(Japan Good Agricultural Practices)の初回認証を取得した。更に平成30年3月9日に農場HACCP認証も取得している。
〇国産農林水産物を利用した新商品開発
・山形県酒田市を所在地とする味噌・醤油を製造する企業様と協力し、山形県朝日町のワイナリーで醸造された赤ワイン入りの味噌だれと山形県庄内地区の酒蔵から仕入れた純米大吟醸の酒粕入りの味噌だれをそれぞれ使用した、「米の娘ぶたⓇ」の赤ワイン味噌漬け、大吟醸酒粕味噌漬けが完成した。これらは平成14年以降、オリジナルのギフト商品として高評価を得ており、ロングセラーの加工品となっている。
・金山町の当社農場で育った「米の娘ぶたⓇ」と金山町の農家さんが栽培する特産品「ニラ」を使った「かねやま餃子」や「米の娘ぶたⓇ焼売」を開発・販売している。
〇販売方式や販売ルートの工夫等による販売促進
・展示会・百貨店催事・イベント等へ積極的に参加し、各種の賞を受賞している。
(2010年第36 回食肉産業展にて、「米の娘ぶたⓇ」が、 銘柄ポーク好感度コンテスト最優秀賞を受賞。)
・Foodexやスーパーマーケット・トレードショーなどの物産展・展示会へ積極的に出展している。
(地域農林水産業との連携、地域活動等)
〇地域農業、地域関連業界等、地域社会との連携状況
・山形大学農学部との連携
平成27年 玄米多給与の肥育豚における発育と肉質に関する研究
令和 2年 腐食酸等の植物生育効果等に関する検討
令和 3年 オリジナル堆肥の植物成育効果に関する栽培実験研究(腐食酸等の添加)
・山形県との連携
令和 2年 バイオ消化液の肥料利用試験(にんにく、ねぎ、里芋、アスパラガス)
令和 3年 バイオ消化液の肥料利用試験(にら)
令和 3年 バイオ消化液の水稲に対する液肥利用試験(はえぬき)
令和 4年 バイオ消化液の水稲に対する液肥利用試験(ふくひびき)
・食育活動
平成16年ミートセンターが竣工し、豚枝肉の解体現場を見学できる環境下にあったため、会社の取組みとして小学校低学年を含む子供たちを学級単位で受け入れて食育活動をスタートした。平成21 年に自社ブランド豚である「米の娘ぶたⓇ」をキャラクター化した「米の娘ちゃん」の登場により活動の場を広げている。平成30 年頃からは食育活動を小さな子供たちにも拡大し、幼稚園や保育園にも訪問している。メインメンバーは3名で活動をしていたが、コロナ過以降は受け入れ態勢が制限されている。
・「庄内ちいき食堂」
ひとり親世帯や貧困家庭などを対象とした「庄内ちいき食堂」に立ち上げから関わることになり、現在もカレーや芋煮、豚丼などを無償提供している。調理スタッフとして社員2~3名を派遣している。
〇地域の雇用先としての貢献
・県内や事業部を展開する各県で積極的に採用活動を行っている。
・平成15年に高校の強力な推薦もあり、高卒一般枠で障害者(聴覚障害・障害等級2級)を初めて採用した。本人のたゆまぬ努力もあり定着し、令和4年には長期活躍障害者として、高齢・障害・雇用支援機構理事長努力賞を受賞するまでに成長した。
・外国人社員の教育では、動画ソフトを活用したマニュアル作成を行い、習熟期間の短縮を図っている。