受賞者一覧
令和6年度/第46回受賞者
食品産業部門(農商工連携推進タイプ)(2024)
農林水産大臣賞
横山製粉株式会社
代表取締役:横山 敏章
所在地:北海道札幌市
業種:製粉業(小麦粉・そば粉・プレミックス粉の製造販売、厨房機器・器具の販売、業務用食品資材の販売)
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【功績申請の概要】
- 〇小麦粉やそば粉などの製粉事業における北海道のトップ企業であり、小麦やそばの生産者とパンや麺などの食品加工事業者や飲食店、さらにその先の消費者をつなぐ、フードサプライチェーンにおける重要な「かけ橋」の役割を担っている。 〇創業の地である「北海道」に役立つ企業でありたいとの思いから、北海道産の原料にこだわっており、北海道産小麦の品質が大きく向上したことにいち早く対応し、平成19年に「北海道産100%の工場」の目標を掲げ、これに沿った製品づくりに注力している。
●功績申請の具体的内容
(農商工連携の推進)
〇国産農林水産物の利用や契約栽培の推進
・平成19年に「北海道産100%の工場」という目標を掲げ、原材料の小麦、玄そば、雑穀は「北海道産」にこだわって積極的に活用している。その結果、平成19年から令和5年までの17年間で北海道産の使用量は、小麦・玄そばの合計で約1万トン増加した。北海道産原料の使用率は、平成19年は小麦42.0%、そば10.3%であったが、令和5年では小麦80.1%、そば28.9%へ増加した。
〇生産者への技術指導等、農林水産業への支援
・小麦の品種改良への協力
国立研究法人農業・食品産業技術総合機構(農研機構)北海道農業研究センター、地方独立行政法人北海道立総合研究機構(道総研)北見農業試験場、ホクレン農業総合研究所で行われている小麦の品種改良や新品種開発において、育成系統の分析及び二次加工試験を行い品質評価に協力している。これらの評価結果は上記の試験研究機関において、実需者が求める加工適性・物性・成分を持つ品種の選定に活かされており、開発された多収・安定・高品質を特徴に持つ新品種が生産者により栽培されることで北海道内の小麦生産の拡大に寄与している。
・北海道産そばの安定生産への支援
JAきたそらちと当社では玄そば購入を複数年契約により行っている。複数年契約とすることにより玄そばの生産を中期的な見通しのもと計画的に実施していただくことで、玄そばの安定供給と生産量の維持拡大を図っている。
〇国産農林水産物を利用した新商品開発
・北海道産のスペルト小麦、もち麦、ライ麦といった、希少性の高い雑穀(スペシャルティグレイン)を使用した「Palettie(パレッティエ)」シリーズを新たに展開している。
・もち麦全粒粉:北海道産のもち性大麦「きらりもち」を使用し、水溶性食物繊維「βグルカン」を豊富に含むもち麦粉を商品化した。
・北海道上川郡剣淵町の生産者と共同で、希少な穀物のキヌアを粉砕したパウダーを開発している。
〇販売方式や販売ルートの工夫等による販売促進
・公式インスタグラム「yokoyamaseifun_official」を通じて、当社Palettieシリーズ商品を使用したパンのレシピ、有名シェフやベーカリーの当社商品使用例を積極的に紹介している。リテールベーカリー※を中心とした皆様に多数フォロー頂き、フォロワー数は1,800を超えている。
※リテールベーカリー:店舗内に製パンする厨房を持ち、手作りでパンを製造し直接消費者へ販売する、いわゆる「町のパン屋さん」のこと。
・「国際製パン製菓間連産業展 モバックショウ」、惣菜デリカ・弁当・中食・外食業界に特化した国内最大級の業務用専門展「FABEX(ファベックス)」等の全国規模での展示会へ定期的に出展し、Palettieシリーズ、新商品を中心とした商品の露出機会を増やし情報を発信している。
(地域農林水産業との連携、地域活動等)
〇地域農業、地域関連業界等、地域社会との連携状況
・農林水産省の麦・大豆保管施設整備事業に係る取組み
農林水産省が国産麦・大豆の安定供給体制の構築に向け、新たに麦・大豆を保管するための施設の整備を支援する、令和2年度補正予算「麦・大豆保管施設整備事業」の第1次申請にて、当社は、江別市の江別製粉株式会社、札幌市の木田製粉株式会社、ホクレン農業協同組合連合会などとともに「北海道産麦コンソーシアム」を結成し、小麦保管倉庫の建設を提案して採択された。これを受けて、上記3社の共同出資により、令和4年6月、地場企業が連携した小麦の共同倉庫としては全国初のケースとなる備蓄倉庫を設置した。新設した倉庫では、3社が年間で使用する小麦の約1割にあたる6,000トンを保管しており、豊作時の保管場所確保や天候不順等による不作に備えた備蓄に活用するなど、北海道産小麦の需要拡大と安定供給に向けて取り組んでいる。
・製パン技術の向上
学校給食用の製パン技術向上のため、毎年北海道パン・米飯協同組合が開催する「製パン基礎講座」に、会場を提供するとともに講師として参加している。同講座では、北海道内の学校給食用パン供給企業や学校給食会などの製パン従事者へ技術指導を行っている。
〇地域の雇用先としての貢献
・従業員を採用する際は、地元からの採用を基本としている。
・地域の障害者就労支援機関と連携し、障害者を雇用している(2名)。
・札幌市より「Sapporo Next Leading企業」に選定され支援を受ける中、地元への貢献指標である事業活動による付加価値額向上策の一環として地元からの積極的な人材採用を進めている。
・60歳の定年後65歳まで働き続けることができる再雇用契約社員制度を平成18年から導入している。