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受賞者一覧

令和6年度/第46回受賞者

食品産業部門<経営革新タイプ①>(2024)
農林水産大臣賞

杉本 豐繁

所属:杉本食肉産業株式会社(代表取締役 会長)
   日本ハム・ソーセージ工業協同組合(常務理事)
所在地:愛知県名古屋市
業種:食肉・食肉製品等の製造・加工・販売業
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【功績申請の概要】

  • 〇経営の多角化とネット販売強化に尽力  同業他社との差別化と持続的成長を図るため、全国15ヶ所の農家と直接契約を行い食肉仕入ルートの多様化を図るとともに、直営小売店46店舗、直営レストラン8店舗を手掛けるなど、食肉流通の川上から川下までトータルで管理する一貫体制の構築と経営の多角化に取り組んでいる。コロナ禍に直面し経済の先行きが見通しにくい状況下において、持続的成長への競争力を高めるために、情報システム専門人員を補充し社内インフラのクラウド化を積極的に推し進めるとともにネット販売の強化に取り組んだことにより、コロナ禍にありながらも同社の業績の落ち込みは小幅に留まり、利益剰余金はコロナ禍前から2割強増加した。

●功績申請の具体的内容

〇SDGs及び環境活動への貢献
令和3年11月に「SDGs委員会」を設立し、直営レストランにおいてお客様がご飯の量やお肉の量を選択できるよう提案し、フードロス削減に取り組むとともに、チルド商品については、段ボールからコンテナへの使用率を50%以上にすることを目標に掲げ、物流効率化と廃棄物削減に取り組んでいる。直営レストランで扱う食材の80%を地元東海エリアに切り替えることを目標に掲げ地産地消にも取り組んでいる。こうした取組みにより、令和4年4月、同社は「愛知県SDGs登録制度」の実施企業として登録を受けた。

〇安全・衛生管理の徹底と5S運動推進への貢献
徹底した安全・衛生管理と5S活動の推進にに取り組み、平成19年には同社のギフト加工センターが中部地方の食肉加工業の中でいち早く食品安全マネジメントシステム「ISO22000」の認証を取得した。

〇海外市場開拓への取組み
平成19年に日タイ経済連携協定(EPA)が発効し、特別待遇関税により関税が無税となることから、タイ向け牛肉輸出に向けた準備を進めるよう指示し、同社は、平成22年にタイ向け牛肉輸出施設認定を取得した。「合弁会社 J VALUE CO. LTD 」の設立(バンコク日本生鮮卸売市場内に『トンロー日本市場』を開業)に参画し、業界に先駆けて新鮮かつ安全な高級和牛肉をタイのレストラン、ホテル、卸・小売事業者に提供するとともに、平成30年9月には「Sugimoto Meet Thailand Co .Ltd.」を設立するなど、海外市場の開拓に積極的に取り組んできている。

〇社内教育制度の構築とキャリアアップに尽力
常に新しいことにチャレンジし、お客様を第一に考えて仕入・製造・営業・販売ができるプロ社員を養成すべく、すべての従業員が「お肉のプロ」として活き活きと働けるように、平成12年に社内教育制度「スギモトミートアカデミー」を創設した。また氏は、同社グループの従業員だけではなく、お取引先の従業員にも同アカデミーを開放し、サプライチェーン全体での人材育成とキャリアアップに尽力している。

〇食育活動推進への貢献
命に関わる病気や障害のある子供が病室などを離れて家族と過ごせる「こどもホスピス」を愛知県内に開設することを目指しているNPO法人「愛知こどもホスピスプロジェクト」の活動に賛同し、子供やその家族にお肉を通じて幸せと感動を届けたいとの思いから、平成18年から「ソーセージ手作り体験教室」を、平成20年から「親子料理教室」を開催している。食の大切さや食に関する知識を消費者に伝えるため、平成22年より「食育プログラム」の一環として、「ステーキの焼き方教室」も開催している。

(独自の製造方法及び技術研究開発の推進・充実)

〇氷温熟成肉の製造方法確立への取組み
業界に先駆けて平成25年からマイナス1℃で熟成させるスギモト独自の「氷温熟成肉」の開発に取り組んでいる。氷温とは、摂氏0℃以下でも凍らずに細胞が生き続ける温度域のことで、氷温庫でマイナス2℃を保ちながら、20日から25日間じっくりと氷温熟成することで、酵素の働きによりタンパク質が分解され旨味を呈するアミノ酸に変化する。時間をかけて熟成するため、肉の筋組織がゆっくり分解され柔らかくなるのが特長となっている。

〇食肉の冷凍技術の高度化への取組み
昨今、食材の鮮度や品質を長期間保持するための冷凍技術が飛躍的に向上していることに着目し、従来の「急速冷凍」では保てなかった食材の鮮度を、そのまま長期間保持できる最新の凍結技術を用いた「フリーザー凍結機」を平成21年に導入した。この「フリーザー凍結機」は、非常に細かい氷結晶を生成し食肉全体を冷気で包み込むようにムラなく冷却・冷凍することで、食肉の細胞膜を壊さずドリップも少なく食肉本来の美味しさをそのまま凍結することが可能となっている。

(業界(団体)や社会への貢献)

平成29年6月には東海支部長に就任、平成30年5月には日本ハム・ソーセージ工業協同組合の理事に就任し、本部役員会の報告事項や決議事項等を支部組合員に提供、公平・公正な支部運営に努めるとともに、これまで東海支部長として消費税率の引上げやインボイス制度導入に向け支部会員の普及啓発に努めているところである。
平成30年からハム・ソーセージ類公正取引協議会の理事を務め、令和4年4月から完全実施された原料原産地表示の義務化においても、同協議会の常務理事として、関係機関からの情報の入手と支部会員への情報提供に努めている。
さらに、物流の2024年問題への対応など業界の諸課題に積極的に関与し、東海支部長として本部に協力して支部組合員へ適時説明会を開催するなど迅速な情報提供に努め、業界の課題解決に向けた指導的役割を果たしている。