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受賞者一覧

令和4年度/第44回受賞者

環境部門<省エネ等環境対策推進タイプ>(2022)
農林水産省大臣官房長賞

さぬき麵業株式会社

代表取締役:香川 政明
所在地:香川県高松市
業種:麺類製造卸販売業等
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【功績申請の概要】

  • 自社の業務が社会における環境保全にどのように貢献できるかとの観点から、香川県に約550軒あるうどん店の排水処理対策、「うどん店排水処理対策マニュアル(川や海にやさしいうどんづくり)」作成に協力した。
  • 香川県で小麦量換算で年間約3,000トンとも言われる廃棄処分されるうどんを「資源」として有効活用するとともに、「うどんでうどんを作る」という新しい循環型社会づくりを目指して産学民官協働で活動する「うどんまるごと循環プロジェクト」に参画し、化石燃料の代替としてのバイオマスエネルギーを活用し地球温暖化防止にも貢献すると共に、その活動がゼロカーボンシティを目指す高松市のバイオマス発電事業への協力にも発展し、結果、地域社会に貢献している。

(気候変動対策

〇温室効果ガス削減の取組

 うどん製造工場及び店舗における食品ロス削減の取組と排水対策を行い、発生した食品ロス(廃棄うどん)を有効活用し、発電や液肥などへの再資源化事業に参加。進物用うどんの過剰包装の見直し、工場・店舗の節電・節水など、温室効果ガス削減に取り組んでいる。

〇エネルギーの効率的利用の取組

 工場・店舗設備をエネルギー消費効率の高い機器に置き換え、工場の計画稼働、店舗うどん茹で釜サイズの時間帯別変更で燃料・水を節約するとともに、LED照明を導入している。また、ゼロカーボンシティの実現を目指す高松市に、再生可能エネルギーの1つである「バイオマス発電」を促進するため、当社は廃棄うどんを提供し、クリーンエネルギー創出に貢献している。

(環境保護・保全対策

〇水質・大気・土壌の汚染防止対策

・香川県では、約550軒あるうどん店舗のゆで汁排水対策、天ぷら油の廃油対策は最重要課題である。香川県において平成16年度に水処理の専門家等で構成する研究会が設置されたことから、当社もうどん製造業者として排水処理技術の開発や製造工程内での対策を検討し、「うどん店排水処理対策マニュアル(川や海にやさしいうどんづくり)」の作成に協力し、県下うどん店への周知も行った。麺を茹でる前に打ち粉を十分に取り除けば排水の汚れが20%削減でき、麺を茹でる際に過度にかき回さないことで30%も削減できるとわかった。

・また、排水処理施設については、研究会の意見をまとめ、県が技術開発支援を行った排水処理施設2種が確立され、当社もうどん製造工場及びうどん店舗における排水対策として、2種のうちの1種であるCNT社の排水処理施設(処理槽内に設置されたバイオリアクターで土壌菌群を誘導・培養することにより、有機物の分解・浄化を行う自然浄化法リアクターシステムを利用した高濃度うどん排水処理施設)を使用している。これにより安心できれいな排水が可能となった。

・うどんを作る際に発生するうどんの切れ端や乾燥中の落下品、茹でて時間が経過し廃棄したうどんなどの残滓が当社だけでも年間150トンある。県下では、小麦粉換算で推定年間3,000トンにも上り、莫大な食品ロス・資源ロスとなっていた。これを有効に活用しようと産学官民協働で「うどんまるごと循環プロジェクト」が発足し、当社はメンバーとして参画し、廃棄うどんを提供している。同プロジェクトでは、廃棄うどん等を発酵させてメタンガスを生成し、燃焼させてタービンを回して発電する。また、発酵後残渣から液体肥料を作り、それを散布してうどんの小麦や薬味となるネギを栽培するという完全循環型プロジェクトであり、当社はその一翼を担っている。

・今年から、ゼロカーボンシティの実現を目標とする高松市のバイオマス発電事業に廃棄うどんを加えることで発電量が増加するかという実験が開始され、当社は廃棄うどんを試料として提供している。この実験が成功すれば、うどん業界全体で再生エネルギーの拡大と食品ロスの削減につながり地域社会における環境保全に貢献できる。

〇工場等の緑化、地域の美化運動、リサイクル活動、ISO14001の取得等の取組

 リサイクル活動としては、うどんまるごと循環コンソーシアムとの連携による、廃棄うどんを「資源」として有効活用する「うどんまるごと循環プロジェクト」の取組に参加している。同プロジェクトでは、その重要性を国民に認知いただくため、旅行会社HIS様と連携し、「うどんまるごと循環プロジェクトがご案内!うどん県で循環型社会を考える!香川2日間ツアー」や【家族貸切専用】讃岐うどんでSDGsをおいしく学ぶ!スタディツアーを行っている。

(環境問題への社内体制等

〇環境対策の社内組織の状況等

・社内スタッフへの取組としては、当社は、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」に賛同し、持続可能な社会の実現に向けた積極的な取組を行っていくことを宣言した企業であることを周知徹底している。

・SDGsの達成に向けた取組は以下のとおり。

1)磨いてきた伝統と継承

 当社は、「手打ち技法」により磨いてきた伝統と、香川県産小麦「さぬきの夢」を使用し、地元産のブランド向上と誇りある郷土料理を提供している。一般の方にも手打ちうどんを学び、体験出来る活動などを開催しており、さぬき伝統のうどん文化の発展に寄与している。(SDGs目標№9、10、17)

2)ゼロカーボンシティへの貢献

 「バイオマス発電」を促進するため、高松市で廃棄うどんを活用した新たな取組が始められた。当社はうどん作りの際に出る切れ端などを集めた廃棄うどんを提供し、食品ロスの削減を進めるほか、クリーンエネルギー創出によるゼロカーボンシティの実現に貢献している。(SDGs目標№7、11、12、13、17)

3)食と職との向上

 女性従業員比率が高く、将来の管理職登用も視野に入れて活躍出来るよう配慮している。また、従業員が健康で長く、やりがいをもって働き続けてもらえるよう、就業規則の見直しや健康維持に関する方針の策定、伝統的な製法を継続するための職人の育成を進めている。(SDGs目標№3、5、8)

4)地域社会との共存

 規格外うどんのこども食堂への提供やフードバンクへの寄付により、食品ロスや地域の相対的貧困への問題解決に取り組んでいる。また、工場見学や小学生の麺打ち体験など、社会・地域貢献活動にも注力している。(SDGs目標№1,2,4,11,17)

・かがわ食品ロス削減協力店舗として、小盛メニューの導入、注文確認の工夫、食べ残しの把握、作りすぎ(ゆですぎ)の防止に取り組んでいる。

〇消費者への情報提供等の啓発活動の取組

・かがわ食品ロス削減協力店としての取組(食べ残し削減に向けた啓発活動)や、うどんまるごと循環コンソーシアム、旅行会社HIS様との連携で「うどんまるごと循環プロジェクトがご案内!うどん県で循環型社会を考える!香川2日間ツアー」及び「讃岐うどんでSDGsをおいしく学ぶ!スタディツアー」を実施。

〇環境行政に対する対応・協力等

・香川県食品ロス削減推進協議会委員として環境行政に協力

・うどんまるごと循環コンソーシアム副会長として協力

・かがわ食品ロス削減協力店として食品ロス削減への取組に協力(小盛メニューの導入、注文確認の工夫、食べ残しの把握、作りすぎ(ゆですぎ)の防止)

・うどん店排水処理対策への協力(香川県環境管理課への協力、うどん店排水処理対策マニュアル作成に協力)