受賞者一覧
令和4年度/第44回受賞者
【功績申請の概要】
- 当社は、「自分の子どもに食べさせたい豆腐を作ろう」という思いを軸に、豆腐をはじめとした大豆加工製品の製造、販売及び小売りレストラン事業を行っている。企業理念の「日本の農業を応援したい」という思いのもと、国産原料のみを使用している。国産大豆のみを使用した豆腐製造業としては国内トップシェアを誇っており、当社の取組は、テレビ東京のカンブリア宮殿でも取り上げられた。(2019年5月9日放送)
- 国産大豆を年間約3,300t使用し、そのうち契約栽培数量は約2,500tと、国内農業の持続可能な生産支援の一助として尽力している。
- 米から麦、大豆への転作奨励によりそれらの生産量が増加し、在庫過多となり始めた地元農業の問題を地元の仲間と共有し、農家の品質向上や生産拡大につながる活動を行うため、地域の農業生産者、企業、農協と「一粒の会」を発足し、米・麦・大豆の生産消費促進活動を一体となって行うことで農業を応援する仕組みを作っている。この「一粒の会」の取組は平成20年に農林水産省、経済産業省から「農商工連携88選」に選ばれた。
- 使用している大豆「ゆきぴりか」は農業試験場の育種段階から当社が携わり、全農を介さずに生産者との直接交流によって播種前契約で栽培面積、単価を決め、全量買い取ることで生産者の生産意欲をかきたてている。この取組は平成24年に農林水産省から「農商工等連携事業計画認定」を受けており、播種前契約の取組は、生産者と実需者の直接取引として先進的な事例となっている。
(農商工連携の推進)
○国産農林水産物の利用や契約栽培の推進
当社は国産大豆のみを使用した豆腐製造業として国内トップシェアを誇っている。年間約3,300tの国産大豆を使用し、その内約2,500tが播種前契約栽培の大豆である。特に高イソフラボン大豆「ゆきぴりか」は、平成15年から17年にかけて当社が十勝農業試験場及び中央農業試験場での育種研究段階から携わり、生産者との交流を通じて播種前契約を交わし、栽培面積と単価を決め、全量買い取りを約束することで農業生産者の生産意欲の維持に貢献している。
○生産者ヘの技術指導等、農林水産業への支援
米、麦、大豆の輪作体系を重要視し、豆腐は全量国産大豆を使用し、国産米は自社直営店での販売やレストランで使用し、また、国産小麦はドーナツ、パンの製造に用い、国内農業の振興に寄与している。また、JA道央ではJA道央契約大豆生産部会が当社の「ゆきぴりか」の取組から生まれ、安定的な販売先があることや、栽培した大豆が商品となり消費者が手に取る姿を見ることが出来、生産意欲向上に寄与している。また、「ゆきぴりか」の栽培基準を生産者とともに策定し安定生産に取り組んでいる。
○国産農林水産物を利用した新商品開発
・平成7年に国産大豆のおからを使った「きらず揚げ」を開発し、現在は定番商品に成長している。開発当時、おからは産業廃棄物として処分されることも少なくなく、食品の有効活用として開発を始め、生協の組合員であるお母さんたちの「子どもたちのために身体に良いおからで堅いお菓子を作ってほしい」という要望からきらず揚げは完成した。
・平成24年に、当社及びJA道央が共同申請者となり、「ゆきぴりか」の価値を最大限引き出したオリジナルレシピと、新たな加工方法を考案して製造した大豆飲料の開発により、農商工連携事業計画に係る認定を得た。
・当社、愛知文教女子短大、授産所高浜安立、高浜市の産・官・学・福の4者が手を組み、アレルギーに悩む子供たちのために、おからを使用した7大アレルゲンが一切使われていないお菓子「ぱりまる」を開発した。アレルギーの有無にかかわらず、美味しくて安全で安心な食品を一緒に食べることが子どもたちにとって大事なことであると考えている。
・減農薬、減肥で栽培された特別栽培大豆を「特別栽培ゆきほまれ」として豆腐に使用し、ブランド化することで積極的に販売している。
○販売方式や販売ルートの工夫等による販売促進
・卸し以外に自社直営店、レストラン、移動販売、e-コマースなどで消費者への直接販売にも力を入れ、国産農林水産物の販売促進活動を行っている。
・直営店は、豆腐専門店として愛知・岐阜・三重・関東で計35店舗(令和4年10月時点)を展開し、豆腐及び当社製品の魅力発信の場のみならず、こだわりの食材や地場野菜の取り扱いにより食や農業への消費者教育の場としても活用している。
・移動販売は、車一台から始められるお豆腐屋さんの移動販売をコンセプトとしたフランチャイズ「くるくる豆蔵」を展開している。常に100種類を超える品ぞろえで、日常食、季節性の高い商品、健康志向の商品を多く提供している。
・e-コマースでは、楽天市場での販売に加え、「自分の子どもに食べさせたいモノ、伝えたいコト」をコンセプトに、食の情報交換・通販プラットフォーム「風土市場」を自社で展開している。
(地域農林水産業との連携、地域活動等)
○地域農業、地域関連業界等、地域社会との連携状況
・麦、大豆への転作奨励により生産量が増加し在庫過多となり始めた地元農業の問題を地元の仲間と共有し、農家の品質向上や生産拡大につながる活動を行うため、地域の農業生産者、企業、農協と「一粒の会」を発足し、米・麦・大豆の生産消費促進活動を一体となって行うことで農業を応援する仕組みを作っている。一粒の会は、地元で多くのイベントを企画又は参加しており、田んぼアートや各種イベントへの参加を通じ国産農産物のPRを行っている。
・地域の食品会社とともに「南三河食文化研究会」を発足し、郷土料理の継承活動を行なっている。また、地元の高浜市を盛り上げるため、郷土料理のとりめしを普及するため「高浜とりめし学会」の設立に協力し、B-1グランプリにも参加、自社工場にて「高浜とりめしの素」を製造。
・工場見学に来た子どもたちが出来立てを食べて喜ぶ姿を見たことがきっかけとなって始めた朝市は、毎月第一土曜日に本社前の駐車場で開催し、工場直送のお豆腐の販売や詰め放題イベントを開催し、地域の皆さんに楽しんでいただいている。朝市には、当社の理念に共感した企業も出店してくれている。
・地元小学校でのとうふ作り教室は20年以上前から行っており、会社の圃場でも毎年地域の子どもたちを対象に大豆の種まきから枝豆収穫、大豆収穫、収穫した大豆での豆腐作り教室などを開催。食べることを通じて子どもたちが「おいしい」「たのしい」「うれしい」と感じてくれることを願い、日々、活動している。
○地域の農協、漁協、地方食品産業協議会等との協力状況
・前述の一粒の会を地元のJAあいち中央農協とともに発足させた。地域の米・麦・大豆の消費促進活動として毎年行う田んぼアート等のイベントや互いの主催イベントに相互出店している。
・地域の農協から地元の農産物を仕入れ、自社直営店で販売している。また、農協の若手職員の 研修先としても毎年協力している。
○地域の雇用先としての貢献
・当社は、約600名をグループ全体で雇用しており、その多くは地元の出身者である。定年後の再雇用制度もあり、本人が希望すれば継続勤務可能な職場環境整備に取り組んでいる。
・地域の授産施設「授産所高浜安立」の仕事量を安定的に維持することを目的とし、国産大豆を 原料とした新たなお菓子「ぱりまる」を共同で開発し、年間約150万円分を仕入れ、自社直営店で販売することで地域の障がいを持った方の所得向上に寄与している。