受賞者一覧
令和3年度/第43回受賞者
【功績申請の概要】
- 当社の「茎わかめ」は、わかめの茎(「中芯」)部分に味付けし、食べやすい一口サイズにカットした商品であり、1996年より製造販売を開始している。当社が商品化する以前においては、わかめの葉の部分はいろいろな商品に利用されてきたが、「中芯」部分は利用価値が少なく、海にそのまま廃棄されていた。また、2014年より製造販売している「茎めかぶ」は、めかぶの上部にある「元茎」という部分を利用した商品で、これも従来廃棄されてきた部分を活用した商品である。
- 「茎わかめ」、「茎めかぶ」ともに廃棄されてきた部位を有効活用し、新たな商品として発売して長期に渡り消費者の好評を得ている。特に、シャキシャキした食感を残し、保存料を使わずに常温保存を可能とした調味加工方法の確立および食べやすいサイズにカットした後に一口の分量に個包装をしたことが新たな市場価値を生み出した。
- 「種抜き干し梅」、「種抜きカリカリ梅」など従来からある製品でも、消費者が食べやすいように加工した商品を開発・販売し、新たな食シーンを作り出すことで市場拡大に繋がっている。
- 素材のおいしさを前面に出した、お菓子感覚の商品開発を通して、世の中に「素材菓子」という新たなカテゴリーを確立させたと自負している。
- 本社・本社工場・本社第二工場、岩手大槌工場でFSSC 22000の認証を取得するなど、安全安心な製品の供給体制の整備に取り組んでいる。
(開発した技術・新製品)
〇開発した技術の高度性
[茎わかめ]
・長年、わかめの生産において「葉」の部分は塩蔵や乾燥にしていろいろな料理に利用されていたが、葉以外の部分は利用価値が低く、収穫の際に大量に海に放棄されてきた。
・1996年に当社がこのわかめの茎の部分「中芯」に独自の味付けをし、pH調整と水分活性のコントロールをすることで保存料を使用せずに常温保存商品として180日の長期保存を可能とした(脱酸素剤を使用)。
・また、消費者が食べやすいように一口で食べられる量を個包装することによってみずみずしさとわかめの持つ豊富な栄養素をお菓子感覚で手軽に摂ることが出来るようにしている。
[茎めかぶ]
・上記の茎わかめと同様、めかぶの上部にあるコリコリした食感が特徴の「元茎」でも同様の製法、包装方法で2014年に商品化した「やわらか三陸産茎めかぶ」を販売開始し、好評を博している。
[種抜きカリカリ梅・種抜き干し梅]
・従来、梅干しといえば柔らかい食感のものがほとんどであったところ、新たに固い食感のカリカリ梅が市場で販売され始め、弁当の白米の上にのせるなど総菜のカテゴリーで多く流通されるようになったが、このカリカリ梅は種が入った状態であり、食べる際に種の処分は少々面倒なものであった。
・当社は、この小粒なカリカリ梅の製法を直径2~3センチの大き目の梅に応用させ、なおかつ種を抜き、半分にカットした状態で袋詰めした「手割りカリンコ梅」の販売を開始した。総菜のカテゴリーから「素材菓子」のカテゴリーにシフトチェンジすることにより、梅商品がより身近なものとなった。最近では、梅にはカリウム、マグネシウム、リンといったミネラルとクエン酸が豊富に含まれているため、熱中症対策の効果的な食べ物として注目されている。
・干し梅についても同様に、従来品は種が入ったものしか流通していなかったが、独自の製法で種を抜いた干し梅を2003年に販売開始した。
・このような商品開発の結果、現在はスーパーマーケット、コンビニエンスストアの菓子売り場で「素材菓子」と呼ばれるカテゴリーを確立する先駆けとなった。
〇開発した製品の独創性
・「茎わかめ」、「茎めかぶ」については、特有の食感を維持するため、調味配合でpH調整と水分活性のコントロールをすることで加熱殺菌工程なしに微生物制御を行い、長期流通を可能としている。
・梅の加工品には種があるものという固定概念を覆し、消費者本位での商品開発を行った結果、今では多くの製品において種抜き加工がなされている。
〇開発した技術・新製品の普及度
・わかめ商品:2001年には237トンの年間販売量であったが、2020年には1,312トンとなった(554%)。
・梅商品:2001年には6トンの年間販売量であったが、2020年には819トンとなった(13,650%)。
(開発成果の社会への貢献)
〇開発した技術・新製品の社会(地域)への貢献
[わかめ]
・元来使用用途が限られ、海中に廃棄されていた部位を使用することで、食品ロスの削減と生産者への経済的な面でのメリットが得られた。
・また、以前より三陸産原料を多く使用していた縁で、東日本大震災の津波により大きな被害を受けた岩手県大槌町に工場を設立することで雇用の創出を行い、三陸復興の一助となった。
[梅]
・中国産の梅を使用しているが、中国では梅は観賞用として栽培されていることが多かったが、実も販売できることで生産者の新たな収入源となった。
(食品表示法への対応)
〇法令に則り、社内および必要により保健所などに確認を行った上で適切な表示を実施している。また、茎わかめの食物繊維など客観的な分析データを基に強調表示を実施している。