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受賞者一覧

令和3年度/第43回受賞者

食品産業部門<経営革新タイプ①>〔個人〕(2021)
農林水産大臣賞

宮坂正晴

所属:信州ハム株式会社(代表取締役社長)
所在地:長野県上田市
業種:食肉製品の製造・加工販売業
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【功績申請の概要】

  • 信州ハム㈱の創業100周年(2047年)に向けて、自社の旗艦ブランドの更なるブラッシュアップと新ブランド確立に注力し、消費者への情報発信等を通じた事業拡充と経営強化に取り組んでいる。
  • 食品安全マネジメントシステムの国際認証取得を主導し、ハム・ソーセージ業界で初めての最上位評価を受けるなど、先駆的な取組みを行っている。
  • クラウドサーバーを使った先駆的な「データベース管理システム」の導入により労働生産性を向上させるとともに、人材育成、子育て世代の従業員支援など、多様な働き方の労働条件を整備した。
  • 食品ロス削減、目に見える省エネ管理の徹底による環境負荷低減、従業員の環境意識を高めるための教育・啓発等の取組みを行い、また、地域での多様な食育活動や児童養護施設等への食材提供を実施している。
  • 日本ハム・ソーセージ工業協同組合及び企業年金基金の要職において、資金管理の健全化、財政基盤の安定化、原料対策に関する情報交換、輸出促進、企業年金制度の信頼醸成に大きく貢献した。

(し界の発展への寄与)

〇旗艦ブランドの強化と差別化による百年経営に向けた取組み

・信州ハム㈱は平成29年に創業70周年を迎えたが、平成28年9月に社長に就任した氏は、百周年に向け、同社を唯一無二の企業に成長させるため、旗艦ブランド「グリーンマーク」及び長期熟成製品「軽井沢」の更なるブラッシュアップと第3のブランド「信州」の新たな確立に注力している。また、事業拡充と経営強化には消費者への情報発信が不可欠とし、SNSの活用やネット販売商品の拡充に取り組んでいる。

 

〇食品安全・衛生管理体制強化への先駆的な取組み

・氏は、食品安全マネジメントシステムの国際規格「FSSC 22000」の認証取得を主導し、同社上田工場は平成30年5月に認証を取得した。

・さらに、現場従業員との信頼関係の構築と現場の衛生管理レベルの引き上げのため、AIB食品安全プログラムの導入を主導し、平成29年3月にAIB認定食品安全衛生監査で“EXCELLENT”を達成し、令和3年3月にはハム・ソーセージ業界で初めて現場の衛生管理レベルで最上位評価の「グリーン」を受けた。

 

〇デジタル技術の活用と生産性向上への先駆的な取組み

・氏は、持続的成長と国際競争力強化のためにデジタル技術活用による生産性向上が重要とし、クラウドサーバーを使った先駆的な「データベース管理システム」の導入と開発の内製化を主導し、全工程での即時トラブル対処や経営判断に必要な情報のリアルタイム把握が可能となり、労働生産性が約30%向上した。

 

〇SDGsを実践する経営への取組み

・氏は、食品ロス削減の取組みの一環として、規格外や賞味期限が近づいた商品の詰合せ「訳ありお楽しみセット」を業界に先駆けてネット販売し、企業の認知度向上と食肉加工業界の信頼性向上に寄与した。

・また、環境負荷低減の取組みが重要な経営課題と認識し、機械設備の更新など、目に見える省エネ管理の徹底を実践している。また、従業員の環境意識を高める教育・啓発に取り組んでいる。

 

〇健康保持増進活動への不断の取組み

・氏は、全従業員を対象に、健康保持増進活動としての定期的な健康講座、健康運動指導士による指導を実施し、長野県知事から表彰を受けるなど、従業員のバイタリティー向上と企業イメージ向上に貢献した。

 

〇次世代を担う人材の育成支援のための意欲的な取組み

・氏は、人材確保と次世代人材の育成支援を最重要テーマに掲げ、子育て世代支援、多様な働き方の労働条件整備などに取り組んでいる。これは、前出のデジタル技術による労働生産性向上と合わせ、今後のデジタルトランスフォーメーション(DX)時代の企業体制を先取りしたものと高く評価される。

 

 (業界の発展への寄与)

〇資金管理の健全化および財政基盤安定化への取組み

・氏は、平成29年5月に日本ハム・ソーセージ工業協同組合の監事及び資金管理委員会委員に就任し、同組合の資金管理の健全化に貢献し、平成30年5月には同組合の理事に就任した。また、同組合の主たる事業「食肉加工施設等整備リース事業」の利用拡充に取り組み、同組合の財政基盤安定化に貢献している。

 

〇原料対策、国際競争力強化及び輸出への取組み

・氏は、同組合理事への就任と同時に、原料対策委員会副委員長に就任し、豚肉・牛肉の関税やセーフガー ド対策などについて定期的に情報交換会等を開催している。また、輸出を念頭においた海外現地調査が急務と提言。調査団が欧州で収集した情報は、業界の輸出戦略の試金石となる情報と高く評価される。

・また氏は、日本産豚肉加工品の輸出促進の重要性を提唱し、同組合が実施する「香港ワイン       &スピリッツ・フェア2016」の展示・試食会に積極的に協力し、業界団体との連携・協働に貢献した。

 

〇企業年金基金の財政運営の改善と信頼醸成への取組み

・氏は、平成29年7月に「日本ハム・ソーセージ工業企業年金基金」理事に就任した。令和元年8月には理事長に推挙・選任され、掛金の改善を図るとともに、加入員向け情報提供と個別相談・指導に徹底して取り組むよう指示するなど、企業年金制度への信頼醸成に大きく貢献している。

 

 (地域・地域経済における活動及び発展への寄与)

〇地域資源の発掘と販売チャネルの拡大による経営基盤の強化と地域貢献への取組み

・氏は、経営強化の長期的戦略として、ブランド力の向上、地元信州ならではの商品開発や、良質な地域資源(信州そば・野沢菜等)を生かした商品の拡充等で売上高を伸ばし、令和2年10月、地域の経済成長を力強く牽引する「地域未来牽引企業」として、経済産業省より選定・公表された。

 

〇食育活動を通じた地域活性化への取組み

・氏は、次代を担う子供たちの健全な育成と地域活性化への貢献のため、小学児童による工場見学、手作りウインナー体験、親子料理教室等の食育イベントの開催や、児童養護施設等への食材提供を行っている。