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受賞者一覧

平成30年度/第40回受賞者

食品産業部門 <農商工連携推進タイプ>(2018)
農林水産省食料産業局長賞

はますい株式会社

代表取締役:浜本 義夫
所在地:北海道 増毛郡
業種:水産食料品製造
> 公式ホームページ

【功績申請の概要】

  • 製品の原材料である農水産物については、北海道産であることを第一に考え、事業を展開している。具体的には、タコ等の海産物は、全て地元である留萌管内の漁協から仕入れており、農産物である米も、道内の農協から調達するなど、漁協、農協との協力関係を構築している。
  • 特に、地元の名産であるミズダコを原材料に、各種の商品を開発しており、このタコの加工に関して、独自の高い技術を有し、平成9年に「蛸の肉質軟化方法」の特許を取得している。
  • また、現在、道産米を用いたアルファ化米を開発中であり、この製品の核となる「凍結乾燥米の製造方法」について、特許を出願中で、この2つの特許技術を用いて、北海道産の海産物と農産物とがコラボした商品の開発に取り組んでいる。

イメージ

(農商工連携の推進)

○国産原料の利用状況

平成16年以来、主力商品の「たこのやわらか煮」、「たこ燻」の原料であるミズダコ、増毛町の特産である「甘えび」を使った「甘えびの姿煮」など原料海産物のすべてを北海道産とすることにこだわっている。、現在の仕入先は留萌管内の増毛漁業協同組合が70%を占め、残り30%が北るもい漁業協同組合といった状況となっている。、現在開発中のアルファ化米も北海道産の米を使用することとしている。

(海産物の種類別の仕入れ量)

平成29年

ミズダコ

エ ビ 類

ホタテ貝

アワビ類

25,000㎏

500㎏

10,000㎏

500㎏

36,000㎏

 

 

 

〇生産者への技術指導等の支援

・浜本代表取締役は、昭和45年から平成16年までの34年間に亘り、増毛漁業協同組合に勤務し、この間、地元で獲れるタコの加工処理施設の設置に奔走し、これを実現して組合の立て直しに尽力した。その後この経験を活かし、増毛町を中心とした水産業の振興と漁業者の生活安定の一助とするため、近海で漁獲されたタコやエビを原材料とする加工食品開発が必要だと考え、平成16年に会社を設立し、事業を開始した。

・増毛漁業協同組合在勤中は、地元の漁業者を指導・育成する立場で、煮ダコづくりのためのノウハウを教えることなどにより、漁業者の収入増と最適に加工した高い品質の煮ダコの生産に携わった経験をが、北海道産のミズダコを原材料とする「たこのやわらか煮」等の当社の主力製品を開発に生かされている。このような活動が評価され、独立行政法人中小企業基盤整備機構が主催する創業ベンチャー国民フォーラム(平成20年度)地域企業化部門で奨励賞を受賞した、

 

〇国産農産物等を利用した商品開発

・「たこのやわらか煮」などの製法に関しては、独自の高い技術を有しており、平成9年に「蛸の肉質軟化方法」の特許(特許第2920514号)を取得している。また、北海道産米 と地元の水産物を用い、それぞれの良さを掛け合わせた商品づくりを進めており、これまでも、米やうるち米とタコを用いた「海鮮早炊きご飯」を開発している。

・現在は、アルファ化米の開発に取り組んでいるところであり、この製品づくりの核となる「凍結乾燥米の製造方法」は以下のような特徴があり、特許の出願手続きを行っている。

・従来のアルファ化米は、炊くと水っぽくなり、また、炊くのに要する時間も15分程度必要であるが、本技術によるアルファ化米は、フリーズドライの下処理技術によ、水っぽくならず、炊き込む時間も4~6分と短縮化している。

・本技術によるアルファ化米は、通常の米と比較しても、たんぱく質や脂質にほとんど変化が見られないとの成分分析検査の結果が出ている。

・アルファ化米は、長期間に亘って保存ができることから、非常時の食料となることはもとより、輸出にも適しており、特に、当社の製品の栄養分の流出が少ない特性を活かし、地元産の米(アルファ化米)と地元の農産物、海産物とのコラボ商品の開発・製造に取り組んでいる。

 

(地域農林水産業との連携、地域活動等)

〇前記のとおり、原料海産物の全量を地元の漁協から調達するなど、北海道産の原材料を使用した商品の開発・製造に取り組んでおり、地域の農林水産業と連携した事業を展開している。、平成19年度には、地域産業資源活用事業計画「特許技術で処理されたタコを活用した「海鮮早炊きご飯」(道産米)の開発・販売」について、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律に基づき、農林水産省及び経済産業省北海道経済産業局から認定を受けている。

〇現在、取組を進めているアルファ化米の製造技術の開発についても、「海鮮早炊きご飯」の製造に取り組んだ経験を踏まえ、地元産の米の消費拡大につながるとともに、最もタコに適したアルファ化米をつくることを目指そうと考えたところからスタートしたものであり、地元の農産物(米)と海産物(タコ等)とがコラボした製品づくりに向けて、チャレンジを重ねてている。

〇正社員である3名は、いずれも地元から採用し、雇用しているほか、工場内の清掃業務などを行うために短時間勤務のパート職員として高齢者を採用しており、これらの者もすべて地元の住民であり、地域の雇用にも貢献している。