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受賞者一覧

平成30年度/第40回受賞者

食品産業部門<経営革新タイプ③>(2018)
農林水産大臣賞

マリンフード株式会社

代表取締役社長:吉村 直樹
所在地:大阪府 豊中市
業種:マーガリン、チーズ、調味料、加工食品等製造・販売
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【功績申請の概要】

  • 【栄養・健康に配慮した食品の開発】
    植物性の素材からチーズに替わる食材を独自の技術で開発し、消費者の食の健康志向にこたえるとともに、アレルギー、コレステロール過多、完全菜食主義者といった、食生活に制約がある人々の食生活を豊かなものにするのに貢献している。
  • スティリーノは、乳たん白と植物油脂、水を加熱混合して作る独自の食品素材とその製造技術を有し、チーズのように使用できる利便性と、コレステロールの大幅カットによるヘルシーさとを消費者に提供してきた。
  • さらにスティリーノの技術を応用したヴィーガンシュレッドは、スティリーノに含まれている乳たん白をでん粉に置き換えることで、動物性原料不使用、27品目のアレルゲン原料不使用を実現した。
  • 安全かつ健康的な食生活を求める人々の一助となることを目的に、ビーガングルメ祭り等のイベントに出店することで、自社のヴィーガン商品の認知度を高めている。

イメージ

(開発・製造した製品の独創性・高度性)

〇乳成分を一切使用しないチーズ代替品の開発

スティリーノは乳たん白と植物油脂、水を加熱混合して作られ、ヴィーガンシュレッドは更に乳たん白をでん粉に置き換え、乳成分を一切使用せずに作られるチーズ代替品で、同社独自の製品である。

〇コレストロールを大幅に低減ティリーノ及びヴィーガンシュレッドは、チーズの乳脂肪分を植物性脂肪分に置き換えたことによって大幅なコレステロールカットを実現した。ゴーダチーズ(日本食品標準成分表2015)と比較してスティリーノでは最大でコレステロールを97%以上、ヴィーガンシュレッドでは99%以上カットすることが可能である。コレステロールの摂取量を減らしたい消費者ニーズに、スティリーノやヴィーガンシュレッドは応える商品である。

 

〇動物性原料不使用シュレッドの実現

ヴィーガン(完全菜食主義者)は、食生活においては、肉類、魚介類だけでなく、卵や乳製品、蜂蜜も摂取せず、豆類、野菜、海藻類などを食べて生活しているが、ヴィーガンシュレッドは主原料はもちろん香料に至るまで一切乳製品を使用していないため、ヴィーガンの豊かな食生活に貢献する食材である。

※アメリカでは人口の5%がベジタリアン、その半数がヴィーガンとされている。日本でもヴィーガンは徐々に認知されつつあり、男女とも20代~40代でとくに良く知られている。

〇27品目アレルゲン不使用への挑戦

スティリーノはチーズの乳脂肪分を植物油脂に置き換えながらも、チーズ様の特性を出すことができる。ヴィーガンアレルギーシュレッドはその技術を応用し、スティリーノに含まれている乳たん白をでん粉に置き換えることで、27品目のアレルゲン原料不使用を実現した。日本におけるアレルギー人口は増加の一途をたどっており、310万人の方、日本人口の約2.4%の方が何かしらの食物アレルギーを持っていると推定される。開発目標は、「乳アレルギーを持っている方でも食べられるチーズ」であった。の溶けは、生地を削る際には十分な保型性を保ち、かつ焼成した際にはしっかりと溶けるという相反した効果を持つでん粉と、釜での最適乳化条件を見出すことで実現した。また製造工程では、乳製品と同ラインを使用するため、乳アレルゲンのコンタミの無いよう洗浄剤の選定から始まり、生産前の洗浄方法を徹底的に見直した。

 

(研究・開発体制)

〇現在研究部にはチーズ類の担当が本社、泉大津工場、長浜工場合わせて17名いる。開発のメインである本社工場にはスティリーノを含めたチーズ全般用の試作機を3台有する。また、泉大津工場、長浜工場にも試作機が1台ずつある。これらの試作機は1.5kg~3.0kgと小容量の釜炊きが可能である。

〇「コアコンピタンス(核の力)」という企業大方針のもと、2017年に新規登録したアイテムは175件にも上る。また会社方針には、過去5年以内に新発売した製品の売り上げシェア50%以上を掲げているが、17年度は新商品の売り上げシェア64.7%の実績を達成した。

 

(販売方式や販売ルートの工夫等による販売促進)

〇札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡に販売拠点を有し、45名の営業マンが在籍しており、1人当たり顧客訪問客数は月間170件に達している。

 

(市場開発・普及度)

〇平成19年10月に発売をスタートして以来、平成30年上半期まで売上は伸び続けている。特に原料チーズ価格の乱高下の際には常に売上を伸ばし、年間約3850t(平成29年時点)の生産量に及ぶ。当初は業務用のみ、スティリーノ100%のシュレッド品で始まったが、お客様の要望に応える中で、ナチュラルチーズとのミックス品やダイス状の商品、スライス状の商品の発売にも至っている。また業務用だけに留まらずコレステロールカットという健康志向がけん引したことで家庭用でも売り上げを伸ばしており、現在に至っては業務用向け約28%、家庭用向け72%と、外食産業ユーザー様よりも一般消費者に支持された商品へと成長している。平成26年にチーズ価格高騰がありスティリーノの出荷量は大幅に増加した。この時のスティリーノの存在価値が認められ、他社からも同様な商品が登場することとなった。現在では一般的な量販店でチーズ商品と同列で並んで販売され、チーズ代替素材の市民権を獲得しつつある。

 

(外部との連携、社会への貢献)

〇平成29年にはLiving with Food Allergy 食物アレルギーと共に生きる会(LFA)が主催する講演会に参加し、そこで開催された企業展示会へ出店した。このほか、アレルギーに関する様々なイベントに積極的に参加している。

 

食品表示法への対応)

〇食品表示基準の改正がなされた項目に関して、スティリーノはチーズに近い物性であることからチーズ公正競争規約に準じて、随時各表示の変更を行っている。約100アイテムあるスティリーノ製品のアレルギー表示、栄養成分表示については順次改版を進めている。一方、原料原産地表示についてはチーズ公正競争規約の更新に応じて、対応予定である。