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2015年 12月 10日
IARC(国際がん研究機関)の加工肉及びレッドミートに関する発表について
一般財団法人食品産業センター
2015年10月26日のIARCの「加工肉をグループ1(人に対して発がん性がある)、レッドミートをグループ2A(人に対しておそらく発がん性がある)に分類」に関して、食品産業センターは以下のように考えております。
人の健康に影響を及ぼす可能性のある物質・要因はハザードと呼ばれ、食品の安全性は人に対する食品の有害影響の程度を定量的に評価すること(リスク評価)によって判断されます。
リスクはハザードの毒性影響の大きさを曝露量(摂取量)を考慮して評価されます。
IARCはWHO(世界保健機関)の傘下で、主に物質や作業環境等の様々な要因(ハザード)の発がん性を4段階のグループに分類していますが、この分類は発がん性を示す根拠があるかどうかを重視しており、ハザードの強さや摂取量による影響が考慮されておらず、人の健康に対する大きさを推し量れるものではなく、今回の評価をもって食肉や加工肉はリスクが高いと捉えることは適切ではなく、また健康への影響はリスク評価機関によるリスク評価を待たねばなりません(内閣府 食品安全委員会10/27(注1),11/30(注2))。また、国立研究開発法人 国立がん研究センターは「今回の結果を踏まえてどのように公衆衛生上の目標を定めるかは、各国の摂取状況とその範囲でのリスクの大きさに基づいたリスク評価で行われるべき」、「同センターが行い2011年に発表した研究結果から、大腸がん発生に関して日本人の平均的な摂取範囲であれば加工肉やレッドミートがリスクに与える影響は無いか、あっても小さい」、「総合的に見て今回の評価を受けて極端に量を制限する必要はないと言える」としています(10/29(注3))。
また一方、食肉がタンパク質、ビタミンB群、鉄、亜鉛など人の健康維持に必要な栄養成分を含んでいることは論を待ちませんし、極端な摂取量制限は栄養素が偏る可能性があること、そしてバランスの良い食生活の大切さが指摘されています(内閣府 食品安全委員会(注1、2)、国立研究開発法人 国立がん研究センター(注3))。
食品産業センターは以上の見解を全面的に賛同し、支持しています。また、今回のIARCの発表に対して、諸外国の政府機関からも同様の趣旨の見解が表明されています。
このIARCの発表については様々なメディアで大きく報道されましたが、消費者の皆様の誤解を招きかねない内容・表現のものが少なくなく、健康な食生活に向けた正しい啓蒙という観点、及び食品事業者の事業推進という観点の両面から、現実問題として将来にわたり甚大な影響を与えかねないことが懸念されます。
今回の件に限らず、食品の安全性や健康影響に関しては科学的な視点から正しい情報を冷静に消費者の皆様に伝え理解を得ることが極めて大切であり、安全で健康な食生活に貢献することが最大の使命である我々食品産業はこれからもその努力を続けてまいります。また、こうした情報の中には消費者の皆様に正しく理解して頂くことが難しいものが少なからずあり、徒に不安を煽ることにもつながりかねず、マスメディアはじめ関係業界・機関の皆様には一層のご協力をお願いする次第です。
今回のIARCの発表についてWHOはその3日後「がんのリスクを減らすために加工肉の摂取を適量にすることを奨励したもので、一切食べないよう求めるものではない」と発表し、また来年早々IARCとは別の委員会で加工肉とレッドミートについて最新の科学に基づいて議論を始めると発表しました(10/29)。食品産業センターは、今回のIARC発表内容(根拠・背景等)の確認を進めるとともに、WHOをはじめ国内外の関係機関の動向に注目して情報の収集に努めます。
食品産業センターは、関係機関・団体との連携を密にして、安全・安心をベースとした健康で豊かな食生活への貢献に向けて、継続して情報収集とリスクコミュニケーションの充実に取り組んでまいりたいと考えております。ご指導ご協力をお願い申し上げます。
【参考資料】
(注1) 内閣府 食品安全委員会 公式facebook
『「red meat」と加工肉に関するIARCの発表について』(2015年10月27日)
(注2) 内閣府 食品安全委員会 ウェブサイト
『レッドミートと加工肉に関するIARCの発表についての食品安全委員会の考え方』(2015年11月30日)
(注3) 国立研究開発法人 国立がん研究センター ウェブサイト
『情報提供 赤肉・加工肉のがんリスクについて』(2015年10月29日)
(その他)農林水産省 ウェブサイト
『最近の話題 国際がん研究機関(IARC)による加工肉及びレッドミートの発がん性分類評価について』(2015年10月26日)
以上
【お問い合わせ先】
一般財団法人食品産業センター
技術環境部
TEL:03-3224-2377・2380
FAX:03-3224-2397・2398
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