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受賞者一覧

平成28年度/第38回受賞者

食品産業部門<農商工連携推進タイプ>(2016)
農林水産大臣賞

エム・シーシー食品株式会社

代表取締役社長:水垣 宏隆
所在地:兵庫県 神戸市
業種:調理加工食品製造

【功績申請の概要】

  • ○弊社は、他社に先駆けて15年以上前から業務用冷凍食品のスパゲティソース「ジェノベーゼソース」を開発し、製 造販売している。主原料の「バジルペースト」は、アメリカから輸入していましたが、「ジェノベーゼソース」の販売拡大とともに、より安全・安心かつ美味しい商品づくりを目指す為、原料の「バジル」を兵庫県で栽培することを計画した。
  • ○弊社は、他社に先駆けて15年以上前から業務用冷凍食品のスパゲティソース「ジェノベーゼソース」を開発し、「兵庫県産バジル」を核とし、農業生産者と食品企業と行政の連携により、農産物の栽培から加工、販売までのプロ セスを作り上げ、6次産業化を実現することができ、この取り組みは、兵庫県下におけるモデル的な取組みとして高く評価をされている。
  • ○食品製造企業である弊社と地元の「ささ営農」をはじめとする農業生産者の取り組みとしてではなく、第2、第3の「ジェノベーゼソース」の開発を目指し、産・学・官・民の連携を強化することで、新しい農産物の創造、地域農業の活性化を推進し、兵庫県産バジルを核とした6次産業化の推進を目指している。

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【功績申請の具体的内容】

(農商工連携の推進)

○国産農産物の利用、契約栽培の状況

・「ジェノベーゼソース」の主原料であるバジルペーストは、年間100トン以上をアメリカから輸入していました。弊社のヒット商品である「ジェノベーゼソース」を更に美味しくするためには、どうすればよいか、そして、わが社の主力商品だからこそ原料の安心・安全をどのように確保していけばよいかを社内で検討していた。その結果、地元・兵庫県で「バジル」を生産し、新鮮なバジルの葉をペーストに加工することで美味しくて安全・安心な商品が製造でき、また兵庫県で生産することで地元へ恩返しができると判断し、計画を進めた。

・ 平成15年、一般社団法人兵庫県食品産業協会、兵庫県農林水産部消費流通課等と相談したところ、県内のたつの市にある集落営農組織「ささ営農組合」を紹介いただき、平成24年から、“ささ営農”において、「バジル」増産計画に伴い、栽培地の近くに、「バジルペースト」加工工場の建設が検討された。事業拡大をするにあたり、「バジル」圃場近くに加工工場を設置することで、摘みたての「バジル」の鮮度を保った状態で加工することができ、より品質の高い「バジルペースト」の生産が期待され、さらに、産地では生葉の栽培だけではなく、ペーストにするという付加価値が付き、生産金額の向上にもつながることが期待される。

・収穫量、栽培面積ともに年々拡大をすることができた。平成16年の初年度は、生葉収穫量0.34トン、栽培面積0.4haであったが、平成26年には生葉収穫量40トン、栽培面積5haと大幅な拡大を実現している。

○生産者ヘの技術指導等、農業への支援

・平成25年にささ営農が加工工場を整備したが、食品製造業のプロである弊社は、設計の段階から参画し、工場のレイアウト、導入設備、製造プロセスについて技術的アドバイスを行い、生産効率の良い加工工場の実現に寄与している。

・また、食品加工に関する衛生管理、品質管理は、農産物の生産管理とは大きく異なるため、弊社とささ営農が綿密に連携して進め、外部から専門家を招き勉強会を開催するなどにより、品質の良いバジルペーストの生産を可能にした。

○国産農産物を利用した新商品開発

(兵庫県産バジル関連商品の開発)

・従来のアメリカ産「バジルペースト」を使用していた商品について、出来る限り、「兵庫県産バジルペースト」に置き換える作業をすすめています。また、平成21年からは、「兵庫県産バジルペースト」の配合量の多い商品については、積極的に商品名に「兵庫県産バジル」を付け、地域産商品であることを強調している。

(商品の開発状況)

・平成21年 冷凍食品素材品「兵庫県産バジルペースト」を発売。

・平成24年 冷凍食品パスタソース「ジェノベーゼソース(兵庫県産バジル)」を発売。

・平成25年 レトルトパウチパスタソース「兵庫県産バジルのジェノベーゼソース」を発売。

・平成26年 ドレッシング「バジルドレッシング(兵庫県産バジル使用)」を発売。

○販売促進

・百貨店、高級スーパー、量販店など自社の持っている全国の販路を活用するとともに、弊社のホームページで紹介するなど、兵庫県産バジルをPRに努めている。

・原料生産者と食品製造事業者が連携し、安全性と美味しさを備えた食品作りへの取り組みを、関西だけでなく関東の生活協同組合に紹介し、支持を得ている。

 

(地域農業との連携、地域活動等)

○地域社会との連携

・平成14年に、集落営農組織「ささ営農組合」が設立され、平成18年に生産者83名が1口株主となり、営農組合から、「株式会社ささ営農」が設立され、これは、兵庫県ではじめての取り組みであった。

・平成25年、バジルの加工工場建設と栽培面積拡大の為、弊社も「株式会社ささ営農」に出資をおこない、新たな株主として経営に参加することになり、加工場整備、技術供与に係る覚書も交わした。

・また、「株式会社ささ営農」に弊社より社外取締役を1名派遣し、毎月、取締役会にて情報交換をしています。これにより、原料生産から加工まで一体的に進めることが可能となった。

・平成25年5月 バジル栽培面積拡大に伴い、たつのバジル生産組合(5団体2個人)と新たに連携することになり、現在では、8団体と連携し、「バジル」増産に取り組んでいる。

○地域の農協、漁協、地方食品産業協議会等との協力状況貢献

・兵庫県食品産業協会と、6次産業化に向けて、常に情報交換をしている。

・龍野農業改良普及センター、JA兵庫西には、バジルの栽培方法等に関して、指導助言を仰いでおり、特に龍野農業普及センターには、作型と施肥設計、育苗、圃場準備や定植作業の機械化、さらには収穫作業の手順等について濃密に指導を受けている。新しい農作物でありながら、約10年で初年度の117倍の収穫量になった背景には、関係機関の指導助言のたまものである。

・たつのバジルGAP(Good Agricultural Practice)に自主的に取り組んでおり、農業生産活動を行う上で、必要な関係法令等の内容に則して定められる点検項目に沿い、各栽培管理工程の正確な実施、記録、点検及び評価し、持続的な改善活動を行っている。

○地域の雇用先としての貢献

・平成25年5月に、たつのバジル生産組合(5団体2個人)生産部会が設立され、栽培面積を拡大したこと、また、平

成26年6月の加工工場が稼働したことにより、約200名の新規雇用が可能となった。バジルの収穫は軽作業なため、地域の高齢者や障害者の方々の就業の場にもなっている。

 

(原料原産地表示の取組等)

・「兵庫県産バジル」は、兵庫県の認証制度である“兵庫県認証食品(ひょうご安心ブランド)”の認証を受けており、安全・安心な食品の提供に寄与している。

・弊社で製造している冷凍食品素材品「兵庫県産バジルペースト」も、“兵庫県認証食品(ひょうご推奨ブランド)”の認証を受けている。

・兵庫県産バジルを使用している商品には積極的に商品名にあわせて、“兵庫県産バジル”の表示をいれている。