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受賞者一覧

平成30年度/第40回受賞者

食品産業部門<経営革新タイプ①>(2018)
農林水産大臣賞

グローバルピッグファーム株式会社

代表取締役会長:赤地 勝美
所在地:群馬県 渋川市
業種:食肉販売
> 公式ホームページ

【功績申請の概要】

  • 【経営の近代化・合理化、生産性の改善向上等】
    グローバルピッグファーム株式会社は、全国各地の家族経営の養豚農家44戸が共同出資して設立された養豚生産者が経営する会社であり、子会社の食肉センターを軸に、生産から流通、販売までを統合して「日本で一番おいしい豚肉をつくろう」を合言葉に、前例のない「ポークチェーン(養豚における6次産業化)」を展開している。
  • 同社は、原種豚の選抜・育種改良、専用飼料の導入、各農場の生産及び財務をデータベース化し、米国式コンサルティングによるメンバー農場の高位平準化、食肉処理場(パッキングプラント)取得、専属卸問屋を通した一元出荷等に係る、全農家の生産・財務指標を明確化し、評価していることである。
  • 同じ種豚と同じ飼料とで肉豚生産をして品質にこだわった豚肉を自社の食肉センターで処理し、「和豚(わとん)もちぶた」ブランドで一元出荷しており、品質の担保とともに、経営コストの削減も実現しており、出荷頭数は年間55万頭に及ぶ。

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(新たな事業活動の展開・生産性の向上)

〇昭和583年に家族経営の養豚農家44戸を組織化した、養豚生産者が運営する会社である。「日本一おいしい豚肉をつくろう」を合言葉に全国各地の農場と連携し、種豚の育種から生育環境、飼料配合、食肉処理、流通(食卓)に至るまで、安全・安心でおいしい豚肉を届けるための努力を傾注している。

・ブランド豚肉「和豚(わとん)もちぶた」のモトとなる原種豚を選抜し、育種改良している。

・日本人の食趣に合った理想的な肉質を追求した育種研究、豚を健康に育て、豚本来のおいしさを引き出すような専用飼料の開発、獣医師の専門チームによる豚の健康管理のコンサルティングを行っている。

・豚肉の生産費に占める経費の一番高い飼料については、独自設計した専用飼料を共同購入し、メンバー農場へ供給することでコスト削減を図った。これは各農場が同じ種豚、飼料を使うことで品質の安定性が保たれ、本来の意味でのブランド豚肉になり、消費者からの信頼に応えることができるとの考えによる。

・各農場の生産及び財務データをデータベース化し、これをもとに、コンサルタント獣医師と呼ばれる養豚専門獣医師が定期的に生産農場を訪問し、生産管理支援に加えて財務相談にも対応する体制を整えた。

〇平成2715年9月にHACCPなど安全工程管理の手法を積極的に導入した自社運営の食肉センター(100%子会社:しばたパッカーズ(株))が稼働し、各農場の豚肉は一般食肉市場を通さず、直売または特定問屋ルートを通じて小売店や消費者に届けることも可能とした。

・独自の食肉処理場を持つことにより、「和豚もちぶた」の品質を担保するとともに、解体料、冷蔵庫使用料、市場手数料などが不要となり、経営的にも大きなプラスとなった。

・自社100%出資の食肉センター「しばたパッカーズ(株)」で、厳しい衛生管理のもと、素早くカットを行ったあと、一般的に用いられる中間業者を介さず、最短ルートで出荷するなど、独自のスピーディーな流通システムを確立している。さらに食肉センターへのHACCP(ISO22000)の導入等により厳格な衛生管理のもと、安全性の確保のみならず、工程管理の見直しなどにも役立てている。

〇生産農場から食肉処理(パッキングプラント:解体処理から商品化まで)、流通・販売までを当社で一元管理することにより、ポークチェーンをより信頼のあるものに高めた。生産規模はグループ農場78農場、グループ年間出荷頭数は55万8千頭余となっている。(平成29年度)

 

 

(市場開拓、販売促進の取組み)

〇平成27年9月に自社100%出資の食肉センターを持つことにより、従来は、生産(養豚農家)→と畜(他社)→食肉問屋(他社)→小売(スーパーなど)となっていたものを、生産(養豚農家)→と畜(自社)→食肉問屋(自社)→小売(スーパーなど)と変え、加えて流通の食肉問屋を自社(専属契約)で行うことで、一般の食肉との混在等がなくなり、「和豚もちぶた」ブランドの品質を担保することを可能にした。

〇豚肉は、酸化しやすく温度管理とスピード流通が重要であるが、専用流通業者であることから、解体処理から小売頭まで最短3日で届けることができる。

〇現在、年間55万頭を「和豚もちぶた」ブランドで流通させており、その内25~26%が自社流通となっている。

〇今後は自社農場の計画的な増設を行い、豚肉供給体制の安定化、経営、流通面の充実を図りながら大消費地東京圏への進出を目指すことを計画している。

 

(独自の製造方法及び技術研究開発の推進・充実)

〇「和豚もちぶた」というブランド確立に際し、独自の育種改良、専用飼料の設計、飼育方法や衛生管理の指導など多岐に亘るサポートを各農場へ行っている。

〇日本人の嗜好に合ったおいしい豚肉を作るために育種改良を行い、推定育種価を使ったプログラムを組み、豚肉の定質化を図っている。

〇おいしさの出る飼料設計を行い、特定工場で高品質のコーンや大豆かすなど、厳選された天然植物素材をベースにし、添加物としての抗生物質を一切使用していない飼料を与えている。

〇専属の獣医師が豚の健康管理の研究と実践を行い、定期的に各農場を巡回し、農場の薬品使用や衛生管理なども徹底して行っている。 

 

(従業員の資質の向上のための取組み)

〇平成22年6月にISO22000を取得し、維持・継続している。「和豚もちぶた」を安心して食べてもらうため、国際基準に基づいた食品安全体制の構築を掲げている。ISO22000認証取得・維持で培ったノウハウを直営農場のみならず、グループ全体の農場へ普及すべく、J-GAPへの取組みも含め社員教育を行っている。

〇グループ農場の経営をコンサルティングすることにより、各農家の経営改善、規模拡大し、当社の経営改善に繋げている。

 

(外部との連携)

〇育種関係では、米国のパーデューイ大学のシンケル教授の指導のもとBLUP法を使った推定育種価のプログラムを組み、ブランド豚肉の定質化を実現している。

〇流通については、当社の豚肉しか取り扱わない問屋6社と提携(専属契約)しており、他の豚肉が混入することなく、「和豚もちぶた」のブランドを確立し、全国で78戸の養豚農家と協力し「和豚もちぶた」を生産している。